新型はかるくんCP-100

Post date: Apr 21, 2011 9:45:29 AM

簡易環境放射線量計"はかるくん”の新型CP-100を開発したということで,試用を頼まれた。

従来のものは,セシウム137からのγ線で校正しているが,線量はγ線のエネルギーにも依存する。

新型はエネルギー補正を行うことにより正確に線量率を測定できると言うことである。

それが理由なのだろうか。広島の私の居室で測定すると新型の方が少し高い線量率を記録する。

このあたりの環境では,カリウムからの1.4MeVγ線が主な成分なのでγ線すべてをセシウムからの660keVとして換算するよりも

大きめの線量を表示する。

それならば,KEKではどうだろうか。東日本は土壌に含まれるカリウムが西日本に比べて少ない。それに今は,原発からのセシウムの寄与がある。

そこで昨日KEKに行ったときにはかるくんを持参して測ってみた。結果は予想のとおり新型と旧型の差は広島での測定値にくらべて小さい傾向があった。

それと,新型の表示する値は,KEKのHPで示されている公表値ともよく一致している。精度も信頼できるようだ。

しかし,もっとはっきり差をみることはできないだろうか?というわけで,はかるくんを飛行機に持ち込んだ。結果はここ

扉の閉まっている間は電子機器の電源をきらなければならないが,それでも,上空における宇宙線の影響をはっきりとみることができた。

(実は,航空会社に離着陸の間も電源を入れさせてもらうように頼んだのだが,返事が間に合わず断念した。)

またふたつのはかるくんの差も大きく出た。巡航高度は4万フィート(約12000m)だった。

(巡航高度を調べる方法を知らないので,機長のアナウンスを期待していた。期待通り,「巡航高度4万フィートで順調に飛行中」との紹介)

JISCARDという航空機の被ばく線量を計算するプログラムによると,今日のフライト(羽田->広島。高度4万フィート)でγ線の実効線量は0.38μSv/hである。

新型はかるくんの巡航時の平均も約0.38μSv/hだった。びっくるするくらい良くあっている。

ちなみに,中性子,陽子,電子などからの線量を合計するとこの日の羽田->広島フライトの合計線量は1.98μSvだった(JISCARDによる計算)。

使い勝手について。

はかるくんは過去1分間の平均値を表示するので,測定場所をかえたりすると,1分間待たなければ成らない。新型は1分の経過が画面で分かるように成った。

これはとても便利だった。使いかたは,スイッチをいれるだけなのでとても簡単。こがたで持ち運びにも苦労しない。結構使えそうである。

*航空機中の線量,間違って記載していたので,2011年4月22日08:00に修正