20mSvのなかみ

Post date: May 27, 2011 8:21:13 AM

いわゆる20mSvの妥当性についていろいろ議論されている。これについて,正確には文科省はなんと言っているのだろうか?

文部科学省が5月11日に出した文書「保護者の皆様へ」か抜粋すると。

「今回、屋外3.8マイクロシーベルト/時を越えない学校は、校舎・校庭などを平常通り利

用しても差し支えないと判断しました。」

とある。つまり20mSvとは言っていない。

この3.8マイクロシーベルト/時のでどころだが,

児童が

校庭に8時間滞在(3.8マイクロシーベルト/時)

木造家屋内に16時間滞在(3.8×0.4マイクロシーベルト/時)

として,365日過ごすと,

(3.8マイクロシーベルト/時×8時間+3.8×0.4マイクロシーベルト/時×16時間)=19.97mSv,,,約20mSv

これが20mSvの出所。

しかし,実際に校庭に8時間×365日滞在する生徒や児童はいない。

それは文科省も認識していて,5月12日の第31回原子力安全委員会資料に

「校庭等の空間線量率3.8μSv/hの学校の児童生徒等の生活パターンから推定

される児童生徒等が受ける実際の積算線量の試算について」

という文書がある。

詳細は省くが,

実際に校庭のいる時間は2時間

登校日は200日

とか

校庭よりその周りの方が空間線量は低い

校舎は木造ではなく鉄筋コンクリート(木造は減衰率0.4だた鉄筋コンクリートは0,1)

など,さらにいろいろな想定をして(詳細はリンク先)

児童・生徒の事故から1年間に被ばく量を約10mSvと推定している。

さらに,このうち「学校関係分」(つまり,学校にいる時間,登校時間)の寄与は1.67mSv

と推定している。全体の約17%,残りは学校以外の寄与である。

今日(5月27日)文科省が「学校1ミリシーベルトを目指す」という発表という報道があった。

しかし,文科省はすでにいまのままでも学校関係分は1.67mSvと試算している。

今日の発表が何を意味してるのか,注意する必要があるだろう。