医療被ばくってどのくらいなんだろう。

2011/05/13 21:03 に Tohru Takahashi が投稿   [ 2011/05/13 22:41 に更新しました ]
理学研究科オープンセミナー「今、東日本で何がおこっているか?」の準備のため放射線について調べている。
日本は医療による被ばく量が世界的にみても多く,年間約2.25mSvということだ。(世界平均は0.6mSv/年)。
病院にいくと必ずとは言わないまでも,レントゲン写真をとるのは日常の事だ。
 最近放射線のことが話題になっていることもあって,胸部x線撮影は50μSv程度とか,胃の検診は600μSvとか,
CTスキャン一回6.9mSvというような話を良く耳にする。
それではその他の診断とか治療はどのくらいの被ばく量なのだろう。

 調べてみると,医者や看護師など治療をする方に対する被ばくやその防護の資料は簡単に見つかるが,
患者の被ばくについての資料はとても少ない。私も治療や診断の問診の時に,被ばくについて説明を受けた記憶がない。

 医療目的の被ばくには限度がもうけられていない。理由は放射線による被ばくよりもそれによってうける利益の方が大きいからだ。
(放射線治療や診断はその場合に限り行われる。)
端的な例は,ガン治療や心臓カテーテル治療など,放射線治療をしないと死に至る可能性が大きい場合だろう。
 
それと,医療の場合,体の特定場所に放射線を当てることが多く,被ばく管理に使われている実効線量のような指標に
どれだけの意味があるのか?という事もある。
しかし,それはそれとして,治療や診察からどのくらいの放射線を受けるのかやはり知っておきたい。
 
 そこで,いくつかの放射線治療について,調べた範囲で書いてみたい。どれくらい正しい見積なのか専門家ではないので分かりかねる。
あくまで以下に示した方法での見積である。
なお,実効線量や等価線量,吸収線量についてはここに分かりやすく書いている。

心筋シンチグラム
塩化タリウム201溶液を注射して心臓の筋肉の活動を調べるのによく使われる。
111MBqの注射が多い。医薬品点文書によると,吸収線量はこうなっている。
     
 臓器      吸収線量
(mGy/37MBq)
 臓器  吸収線量
(mGy/37MBq)
 全身  1.0  脾臓  0.9
 心臓  1.7~3.2  腎臓  11.8
 肺  2.1  睾丸  2.2
 肝臓  1.9  卵巣  2.5

この数値と組織荷重係数,放射線荷重係数(x線なので1)から111MBqの時の実効線量を計算すると

 (1.0(全身)×0.12+3.2(心臓)×0.12+2.1(肺)×0.12+1.9(肝臓)×0.04+0.9(脾臓)×0.12+11.8(腎臓)×0.12+2.2(睾丸)×0.08)×111/37
 ~7.6mSv (全身を加えるのは2重カウント?それを除く7.2mSv)
このHPによると通常検査での被ばく量は約0.2~10mSV(ミリシーベルト)とのことなのでそれほど外れてなさそう。
 
心臓カテーテル治療
 
  心臓造影のため,カテーテルから造影剤を注入しX線の像をみながら狭心症や心筋梗塞の診断や治療を行う。
 
  被ばく量は治療にかかった時間による,
  皮膚表面の等価線量(全身ではない)は最大3Svに達するらしい。
  この時の実効線量についての資料はほとんど見つからないが,ここを参考にすると333~600mSvと推定されるとのこと。
 

 
このような治療を受けたひとは日本に大勢いるはず。患者に対する被ばく量の記録をちゃんととっていけば
低線量被ばくの影響の系統的調査に役立つと思うのだが。











Comments