理学部セミナーでのコメント

2011/05/18 1:29 に Tohru Takahashi が投稿   [ 2011/05/18 20:46 に更新しました ]
昨日(5月17日)のセミナーの際のアンケートや質問のうち劣化ウランに関することと,チェルノブイリに関することを
簡単にまとめておこう。

チェルノブイリについて2011年5月19日補足
 
 
劣化ウランの放射能
 
IAEAのよると劣化ウランの放射能は14.8Bq/mg,その内訳は
                    重量比   放射能比
 ウラン238  99.8%     83.7%
    235    0.2%     1.1%
         234   0.001%    15.1%
ということである。
 
一方,ウランの化学的毒性の観点からWHOはウランの摂取限度として
経口摂取の場合
  溶解性塩(硝酸ウラニルなど)  0.0005mg/kg-body/day
    不溶性塩(ウラン酸化物など)  0.005mg/kg-body/day
としている。
 大きい方の不溶性塩では,体重70kgの人について0.35mg/dayとなる。

 この量の劣化ウランを経口摂取した場合の実効線量を計算してみる
ウランに対する実効線量係数だがウラン238を経口摂取した場合として
4.5E-8(Sv/Bq)を使うと,

  実効線量=14.8Bq/mg×0.35mg×4.5E-8=0.23μシーベルト

 劣化ウランは放射線よりも化学的毒性の方が大きい。
 
 
チェルノブイリと福島の比較
 
福島はまだ進行中の事象なので比較はむつかしいが
 
放出された放射性物質
      チェルノブイリ   福島       チェルノブイリ/福島
I131     ~1760PBq   175PBq      10
Cs137    85PBq     12Pbq        7
Pはペタ 10の15乗
 
放射線放出量でみるとチェルノブイリは福島の約10倍
 
放射線による人への影響
  以下はチェルノブイリについては原子放射能の影響に関する国連科学委員会のHPより
 
急性効果
   チェルノブイリ
     134人が0.8~16Gyの被ばく(事故当日) 28人が3ヶ月以内に死亡
   福島
     該当なし。
 
確率的効果
   チェルノブイリ
     こどもがI131に汚染された牛乳を飲んだことにより,最大10Gy以上の甲状腺被曝をうけたと考えられる.
     2005年までに6000人が甲状腺癌を発祥
     スクリーニング(ガンの検診)を受ける数が増えたことを考慮しても放射線の影響と考えられる。
 
   その他に放射線の影響とみられる癌などの発症は見られてない。
 
    福島
       進行中の事象のためまだ結論できない,
       しかし被曝管理はチェルノブイリよりはるかに厳格。
       放射線の放出量も小さい。

      平成23年5月12日の原子力安全委員会の資料によると
       3月26日から30日の間に0才から15才までの1080人に甲状腺等価線量の調査を行った。
       (方法は緊急被ばく医療ポケットブックに従う)
       その結果,スクリーニングレベル0.2μSv/h(一才児の甲状腺等価線量として200mSv)
       をこえるものはなかった。
       (この部分線量率から等価線量への換算のやりかたは高橋は理解していない。報告書そのまま)
 
 
 
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