ICTと授業

2011/12/30 18:20 に Tohru Takahashi が投稿
ICTと授業

今日(2011年12月31日)の朝日新聞「教育あしたへ デジタルが来た 反響編」に,ICT(Information and Communication Technology)の授業への導入について,読者からの意見が掲載されていました。ICTの導入というのは,たとえば,電子黒板の利用とかとかInternetを使った授業などです。
 意見を読むと,ICTは有効に利用できるという反面,「機器の導入だけでは不十分」,「準備や操作の習熟に時間が必要」という意見がありました。私も後者について以前から気になっていました。日頃の授業で感じていることを書いてみます。

 私は,ICTの活用というにはおこがましいですが,大学での授業中講義室の端のスクリーンにコンピュータの画面を映しています。通常はその日の授業の目次を,進行に従って,黒板では難しい立体的な図とかアニメーションを表示します。授業アンケートをみるとその部分は比較的評判が良いようです。この方式で何年も授業を行っていますが,この経験からだけでもICTの導入を進めるにはいくつか解決することが浮かんできます。以下3つの点を考えてみます。

1),教材について;
 私が使っているものはそれほど凝ったものではありません。しかし,簡単な図やアニメーションでも作成にはそれなりに時間がかかります。インターネットなどで検索して使えるものを探すのですが,自分の授業内容ややり方に合わないと実際には使えません。結局かなりの部分を自分で作成しています。これからICTの教材はどんどん充実するでしょうが,教員が自分で準備する部分が無くなることはないと思います。そして,その作業はアナログ授業の準備よりより時間と手間がかかるように思います。。

2),機器やソフト操作の習熟
 ICTに関わらず,機器を使った授業では,その操作の習熟が不可欠です。パソコンの画面の投影一つをとっても,トラブルは頻繁に起こります。授業をやっていると,webページの表示一つとっても探すのに手間取ったり,分からなくてあきらめることがあります。限られた授業時間で,また受講生が聞いてるなかでトラブルはほんの小さなものであっても修復できないことがあります。授業をする側は,なんども練習して慣れておく必要があると思います。何か新しいことを導入するたび(使う部屋が変わる,パソコンが変わるだけでも)にこれが必要となります。

3),機器の準備
 授業ごとに,使う機器の準備が必要です。教室にあらかじめすべてが整っていることは少ないでしょう。2)とも関わりますが,使用する部屋の機器の操作を熟知していても,授業開始前1にある程度時間が必要だと思います。私の場合,パソコンをプロジェクターに接続して,スクリーンを調整するだけでも10分程度かかります。15回の授業ではこれだけで150分費やしていることになります。片付けは別途かかります。授業の間の休み時間をすべて使っても難しいと思います。これを何とかしないと,ICTを使った授業は特別な時間を使った,特別なものにしかならないと思います。


私の経験から,考えられる点を3つ上げてみました。高校,中学,小学校の教員に比べると遙かに授業時間数の少ない国立大学教員がこのように感じています。もちろんかなりの部分はハードやソフトの充実,つまり技術的な進展で改善できる期待しています。しかし,運用面で教員をサポートする体制や,現場の教員と協力して,それ以上に一体となって教材を開発する体制など,ソフト面をどのように開発していくか,ICTの活用はこれが鍵になると思われてなりません。

Comments