超光速ニュートリノ??

2011/09/24 22:33 に Tohru Takahashi が投稿   [ 2011/09/25 3:40 に更新しました ]
ニュートリノが光より早く飛んだという実験について,報道で伝えられるニュアンスの中に科学者コミュニティの雰囲気とちょっと違うものがあるようです。
すでにこれについて,コメントをしている方々もいます。気になったので,自分がどんな発信をしたのか,振り返ってみました。

私がこのニュースを知ったのは,9月23日(金)の朝,ツイッターからでした。直ぐに,facebookのILC通信ページに書き込みをしました。
そのときは
おやっ。 こんなニュースが。ニュートリノが光より早い?730km飛んだニュートリノが光速で飛ぶより60ナノ秒早く届いたという話。」
というコメントとともにロイターの記事を引用しました。
軽い感じの投稿です。その裏には,ちょっと信じられないという印象がありました。その後,他の方からも投稿が有り,議論が続きました。
少しあとには「私も系統誤差に一票かなあ。。根拠はないけと」という投稿をしています。
この頃までには公表された論文を(ざっとではありますが)読み,
実験グループが考えられる限りの検証をした上での発表であることや,
結果の重大性(率直にいって理解しがたいこと,でしょう)を認識したうえであえて公表したこと,
この結果をそのまま使うと,1987年の超新星爆発からのニュートリノ観測の結果と矛盾することなどの情報を得ていました。
私も系統誤差に一票かなあ。。根拠はないけと」というのは,
”実験の解析に欠陥を指摘することはできないけれど,やっぱり信じ難い。(どちらかというと信じていない)”
というニュアンスです。

一方で,マスコミやネットなど見る報道には「相対性理論と矛盾」とか「タイムマシン」などの言葉が見られました。
でも,そのような記事を読んでみると,「本当ならば」とか「さらなる検証が必要と」と書いてあります。
書いてはいるのですが,「相対性理論」とか「タイムマシン」が目立つ書き方なんですね。

物理を専門としている科学者は特殊相対性理論を勉強していますし,それが徹底的に検証されていることも知っています。
なので,相対論と矛盾といってもにわかには信じがたい。
しかしマスコミの方の受け取り方は違っても不思議では無いでしょう。
それとニュースという性格上,人目をひく表現になるのはある程度しかたがありません。科学者コミュニティの受け取り方を
知るまえに速報する必要もあると思います。

こんな時,科学者コミュニティはどう対応すればよいのでしょうか? 
まずは。起こったことの重要性を的確に,かつ誤解を与えない表現で伝える必要があると思います。
その意味で,CERNのHP*や,実験グループのプレス発表どうだったでしょうか。私はよく考えられた文章だと思います。
日本で発表されたのはこれです。

今回の話,どのように決着がつくのかまだ分かりませんが,科学コミュニケーションの立場では学ぶことが多いですね。


*これはCERN HPのトップページなのでそのうちhttp://public.web.cern.ch/public/features-archive/に移動します。

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